自営業者の借入に関する基礎知識

借り入れに関する基礎知識

借入とは?

以前に比べて金利がだいぶ安くなってきましたので、お金を積極的に借りるのは今の時代ではとてもいいことなのかもしれません。

 

しかしお金を借入するということは、お金をもらえるわけではありませんので、きちっと返済しなければならないのです。返済をするということは、借りたお金を元手にしっかりと事業を回して営業得利益を作っていかなければならないということです。

 

営業利益さえでればお金の返済はできます。しかしながら今の景気で事業計画を推し進めていってもそう簡単には思った通りに儲けることはできないのが現状なのです。

 

それにしてもこの低金利の時代であればお金の借入というのは非常に魅力的です。どんな事業をするにしても“元手”というものは必要です。よっぽどお金持ちのスポンサーが周りにいない限り、まとまったお金を極めて簡単に手にするにはどこからか借入するほかないのです。

 

そうした時のために銀行であったり消費者金融や国の政策金融公庫があるのです。

 

低金利を利用して借入を進めるのはいいことだと思いますが、借りたお金は金利をつけて返さなければなりませんので、事業計画がしっかりしていなければなりません。計画がしっかりしていることで返済計画もしっかりするのです。

 

中途半端な計画で借入をした場合、返済に行き詰ってしまう可能性があります。返済が行き詰ると信用がなくなりますので、将来万が一の場合には完全に借入などできなくなってしまいます。

 

借入は「金利をつけて返してくれるだろう」という信用の上に成り立つのです。

 

現在の経済状況

1990年のバブル崩壊後長く続く政治の混迷、銀行の倒産劇、多くの会社の倒産など日本の経済は沈みっぱなしです。

 

政府発表は「それなり」のことしか言わないようにしていますが、これは対外債権が暴落でもしたらとんでもないことになってしまうからです。実際に経営をしている人はもちろん、会社で働いている人もここ数年でお給料が下がりっぱなしなので厳しい状況だということは容易に理解できているはずです。

 

こんな経済状況の中さらに追い打ちをかけるように東日本大震災が起き、「これでもか」というほど叩きのめされた感があります。さらに最近の世界経済の減速も深刻な状況で、貿易立国の日本としては非常に厳しい状況が続いています。

 

私たち一般消費者にとって海外の安い商品が日本になだれ込んでくるのはうれしいことなのですが、日本全体で考えると大きなマイナス要因です。

 

物の値段が下がると金利も上げられません。「デフレ」というのはデフレーションの略語で“縮小”のことです。経済の用語としては「通貨の縮小」という意味で用いられます。今年100円で買うパンが来年は98円で買えるという意味です。通貨の価値が下がっていくと貯蓄など金利がつかないので全くおいしくありません。

 

しかしこうした金利下でひとつだけ得した気分になれるのが「借入」かもしれません。以前は金利が20%もした貸出金利が半分程度に落ち込んでいるのです。借りたお金ですから返さなければならないのですが、この経済状況下でいかにお金儲けをするかというしっかりとした事業計画さえあれば十分だと思います。

 

短期借入と長期借入

借入はその返済期間によって大きな違いがあります。返済期間が一般的に1年弱の借り入れのものを「短期」と呼びます。

 

事業関係のための借入の場合、短期借入は業者間もしくは銀行手形決済の期間が3カ月ほどかかりますので、その間の運転資金が足りなくなった場合などに借入することが多いようです。

 

もちろん他の理由もあるかとは思いますが、決済するまでお金がないのは事業者にとっては頭痛の種なのです。

 

この短期借り入れに対して1年以上の借入を「長期」といいます。長期借入の場合、その目的は設備投資などが多く、事務所の内装を変えたり高額な機械を買ったりする時などに使われるようです。

 

このように短期と長期の借入がありますが、それぞれ目的が違います。

 

短期借入と長期借入では返済期間が違うのですが、その返済期間のために借入で最も気になる金利が大きく違ってきます。短期借り入れの方が金利は一般的に低くなります。

 

長期借入を利用すると金利が高めですので、返済の期間中に金利に変動があったりすると「借り直し」という手法を使って金利圧縮をすることも間々あります。

 

このように借入の返済期間を選択するだけで金利の部分に影響します。したがって不必要に長い時間お金を借りる必要があるかどうかをしっかりと検証しなければ損してしまいます。

 

また短期借り入れはかなり頻繁に行われることがありますので、年間の会社の決算書から短期借入金の項目から何年もの間、数字がなかなか消えないこともあります。

 

資本性借入金

小規模事業や中小企業経営は、その事業規模が大きくないことが多いので掛け売買をしていると手もとの資金が枯渇しがちです。

 

長期借入金が大きな金額になっていると決算の時に貸借対照表でその数字は目立ちます。このような状況ですと、会社の経営状況にちょっと陰りが見えてきた時お金を別口で借入しようと金融機関にお願いしてもなかなかいい返事はもらえません。

 

貸し出す側も借入の額が大きいと返済ができるかどうか心配になってしまうのです。

 

昨年の東日本大震災の時に、多くの会社が事業をストップせざるを得ない状況に陥りました。こうなると小さな会社は売掛金の回収にも大きな影響が出てしまいます。

 

日本全体がストップしているのに「絶対に遅れないように払ってください」といったところで、全てがストップしているのでムリです。こうなるとお金が全くない状況に陥ってしまい、再度金融機関に借入を申し込みに行くのです。

 

その時に長期借入がある場合お金を借り入れるのが難しくなるのです。

 

そこで政府は長期借入金を資本金と見なしましょうというルールを明確にしたのです。これを資本性借入金といいます。

 

長期借入金が資本金としてみなされれば負債の欄から借入がなくなり、貸し出す側の金融機関に安心感が出てきます。

 

帳簿上の操作をしただけですから、借入を返済していくことには変わりないのですが、金融機関内部の貸し出し条件をクリアできるようになったのです。一時的な措置なのかどうかはわかりませんが、こうしたことをしないとつぶれてしまいそうな会社が昨年は急増したということです。

 

返済期間

借入金の返済期間を選ぶ時、その借入金の用途によって長くなるのか、短くなるのかを選択します。

 

決済期間で手元資金がなくなってしまいそうだから運転資金として借入したい場合は短期にすればいいことです。何カ月かの借入で済むのであれば金利支払いはとても安く済みます。

 

これに対しなにか機械を購入したいとか、事務所を移転させるのでとか、工場を買うのでといったように大きな資金が必要な時は長期で借入れるのが普通です。金利は高くなりますが、なんといっても返済の機関が長いので月々の支払が楽になります。

 

また、貸し出し金融機関と非常に良好な関係を持っている会社などは5年後一括返済などといった方法で返済をすることも選択できます。ただしこうした方法は金融機関から信用を勝ち取らなければなりませんので相当難しいと思います。

 

返済期間の長さはそのまま金利に影響をします。こうした金利部分の支払いも含めて返済がちゃんとできるかどうか自分自身で分析しなければならないのです。特に事業資金として長期間の借入をするのであれば、よほど注意深くならなければなりません。

 

これから進めていく事業に「絶対うまくいく」という保証はどこからも得られません。したがってなにか問題が起きて返済が滞ってしまうケースも想定して借入を計画した方がいいと思います。

 

昨年の東日本大震災のようにだれも想像していなかった事象が起きるとすぐにビジネスに跳ね返ってきます。資金が豊富にある大企業ですら危ない状況になったところもあったので、中小企業や自営業者にはもっと深刻な影響を及ぼすのです。

 

金利

バブルが崩壊して約20年の間日本の経済は苦しみ続けています。このような状況でも「過去最高益」をだしたりする企業があるのですから感心しきりです。

 

しかしながらほとんどの企業は苦しみ続けていると思います。こうした状況はもはや慢性化していますので、毎年の企業の決算書の負債借入額が減らないのは当然のことかもしれません。

 

事業ではなにをやっても難しい時代ですが、唯一助けられるのが金利の低さです。バブル期の金利は、今と同じ法律ではないので簡単に比較はできませんが、フリーローンで20%を超える金利を当たり前のように謳っていました。

 

現在は取り立て問題などが社会問題化したことで総量規制や金利制限法などが厳しくなったこともあり、フリーローンでも15%前後の金利となっています。お金を借りやすい時代であるのは間違いないでしょう。

 

この金利はどうやって上下するのかというと、国の銀行でありお金を印刷できる中央銀行が市中銀行にお金を貸し出しています。この時の金利を公定歩合と呼びます。

 

この公定歩合が現在1%もなく0.15%前後なのです。バブル期の最後の方は4%ぐらいあったものがここまで金利が低くなっているのです。

 

この低い金利で市中銀行がお金を借り、さまざまな所にお金を貸すわけです。その時に数%上乗せした金利で貸し出し、その差が市中銀行の儲けとなるのです。
消費者金融など非銀行系の金融機関は法律で中央銀行から借りられないようになっていますので、銀行の方がベターな金利で市場で商売をできるのです。

 

このようなからくりが今の貸出金利を下げている理由なのです。

 

審査

お金を借りる場合、ほとんどの場合銀行や消費者金融会社からの借入になります。この時「お金を借りたい」という一言でお金を貸してくれる所は一軒もありません。

 

大切なお金を貸し出すのですから、借り手がどういうことに使いたいのか、支払能力はあるのか、また場合によってはそうしたものがダメでも代替えの金目のものをもっているのか、などを理解しないとお金を貸し出しません。このように金融機関から借手が調査されるのを「審査」といいます。

 

金融機関の審査はかなりシビアに行われます。「貸すのは構わないが、戻ってこなかったら大変なことになる」というリスクを抱えなければならないのです。

 

金融機関の審査で一番気になる部分は「安定収入を持っているか」ということです。事業資金でお金を借りたとしても、その会社なり個人なりに返済するための算定的な収入がなければ金融機関としては貸しにくくなります。

 

もし遊び人で安定収入のない友人から「お金を貸して」と頼まれてもお金を貸しませんよね。これは極端な例ですが、銀行も同じことを考えているのです。

 

最近総量規制が厳しくなり、年収の3分の1までしかお金を借りられないことになっています。しかしこの総量規制はあくまでも「個人的な」借入に対しての話です。

 

事業主や会社経営者が資金を借り入れる場合はこの年収3分の1にはあたりません。事業資金としての借入は会社の決算書にあらわれますので、別口扱いとなるのです。

 

ですから個人的な借入と分けて考えてもいいようです。

 

担保・保証人

借入をする際に、貸し出し先の金融機関によって借入申込者に対し審査というものがあります。この審査では返済能力があるかどうかということがいちばん問われます。

 

この審査で返済能力に少しでも疑問がある場合、貸し手は貸し出しを拒む可能性もありますが、貸し倒れにならないよう借り手からなにか保証をしてもらうことにより融資をすることもあります。そうした保証は担保であったり、連帯保証人であったりします。

 

担保は一般的には“物”になります。通常土地家屋の権利書などが担保物件となります。

 

担保を抵当に入れ融資を受ける場合、万が一返済不可能に陥ってしまったらその土地家屋を貸し手に全部持っていかれてしまうかもしれません。したがって、担保物件を差し出す場合は最上級の警戒心を持って判断をしなければなりません。

 

私の友人のお父さんが会社経営の際に自宅を融資の担保物件として差し出していたので、倒産した時に全て失ったのを見たことがあります。実際にそうしたところを見ると恐ろしいものです。

 

担保の他にも連帯保証人を要求される場合があります。この場合借り手が返済不能に陥ってしまった場合、連帯保証人が後を引き継いで返済するということに合意をすることです。

 

「人様に迷惑をかけるなんてありえないだろう」という考えを持っている人が、たいていこうした契約書にハンコウを押してしまうようです。

 

連帯保証人になった人は、ある時突然貸し手の金融機関から返済を求められる羽目になってしまうことがありますので、連帯保証人のハンコウを押す場合はそれなりの覚悟をしておいた方がよいかと思います。

 

月商倍率

商売をしている人が金融機関に借入を申し込んできた時に、金融機関は査定をします。この査定の中で基本的にみたいのは「ちゃんと貸したお金に金利をつけて返してくれるのであろうか」ということです。

 

したがって収入状況をかなり詳しく調べることになるのです。この収入状況の中で金融機関が着目する指標のひとつが「月商倍率」というものがあります。

 

月商倍率とは商売を営んでいる人の借入の状態を知る上でわかりやすい簡単な指標の一つです。その算出方法は 借入金総額÷月平均売上 です。

 

サービス業など一般的な事業をしている業者の場合この月商倍率が3倍程度までは最適な借入といわれているようです。この最適倍率は事業形態によって変わってきます。

 

非常に高価な機械などを借入金で購入しているような事業者はその借入金が大きいため最適倍率は5倍以上になります。その細かい隅分けは金融機関によって判断されるものなので詳しくはわかりません。

 

したがって月の平均売上が100万円ほどのサービス系の事業者はその3倍の300万円程度が最適な借入金額となるのです。

 

この月商倍率をどの時点で金融機関が利用するかというと主に「追加融資」の申請などに用いられるようです。

 

資金難に陥ってしまった事業者が借入金があるにもかかわらず追加の融資を願い出ても、金融機関はこの月商倍率の数値が跳ね上がってしまった場合、金額の妥協点を探るか、もしくは追加融資を断る形になってしまうのです。

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